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説得(persuasion)

相手の態度を変えようと働きかけることを説得と呼びますが、一体どのような説得が効果的なのでしょうか。
以下に効果的な説得に関する心理学的理論を紹介します。

被説得性(persuasiveness)

説得をして態度を変えさせようとするとき、相手の態度の変わりやすさをその人物の被説得性と呼びます。
一般的に、女性のほうが男性よりも被説得性が高く、頭が良い人は被説得性が低いことがわかっています。

論駁的両面メッセージ(two-sided message with refutation)

説得するためのメッセージのうち、主張に肯定的な内容のみを含んだメッセージのことを、一面的メッセージと呼び、主張に反対する内容も同時に含んでいるメッセージを両面的メッセージと呼びます。

さらに、両面的メッセージの中でも主張に反対する内容と主張に対するはっきりとした反論を含むメッセージを論駁(ろんばく)的両面メッセージと呼び、そうでないものを非論駁(ろんばく)的両面メッセージと呼びます。
論駁的両面メッセージは非論駁的両面メッセージよりも効果的であることが知られています。
たとえば死刑制度廃止についての主張であれば、「死刑制度がなくなれば犯罪抑止力が低下するという理由で死刑に賛成する人もいるが、私は死刑は残酷だから廃止すべきであると思う。」という単なる両面的メッセージよりも、「死刑制度がなくなれば〜であることは確実である。しかし犯罪抑止のためなら何をしても良いというのは間違っている。だから〜…」のようなメッセージのほうが効果的なのです。

一時的要請と段階的要請

人に何か頼む場合、最初からその頼みを提示して説得する方法を一時的要請といい、最初は程度の低い頼みをし、次に本来の頼みを説得する方法を段階的要請と呼びます。この二つの要請では一般的に段階的要請のほうが効果的であることが実証されています。

これは説得するときの一つのテクニックといえます。例えば、異性に交際を申し込むときには「まずは友達から」というのもその応用であるといえるでしょう。

心理的リアクタンス(psychological reactance)

例えば、「勉強しなさい」と親に言われると逆に勉強する気がなくなるということがあるように、人は命令的に説得されるとその説得に抵抗するようになります。これを、心理的リアクタンスといいます。

接種理論(inoculation theory)

近年環境に関することが大きく問題になっていますから、私たちは「地球温暖化が進んでいる。だから温室効果ガスの排出を抑えなければならない」ということは耳にたこができるほど聞いていて、それをいまさら声高に唱えても説得の効果は薄いといえます。しかし逆に、「地球は温暖化していない。だから温室効果ガスをどんどんだしても問題ない」といわれると「そうなのかもしれない」と思って納得してしまうことがあります。

これは説得には一種の免疫があると考えることができます。そしてこれを説明した理論が、接種理論です。


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